八節を目処に更新している塾長の季節便り。今回は立夏編です。
柱の傷はおととしの 五月五日の背比べ♪
またこんな歌もありました。
夏も近づく八十八夜♪
このような素敵な童謡は今ではほとんど歌われなくなってしまいました。
さて、今年の立夏は五月五日です。
でも現代の新暦での五月五日は夏の始まりと感じませんね。七月七日の七夕も同じ思いがします。梅雨のさなかですから。それもそのはず、明治以前に使われていた太陰太陽暦は中国の寒冷地の黄河流域で「農暦」として使われていたものなのだそうです。それを日本に合うように何度か修正し、天保十三年に天文学的にも世界で最も正確な太陰太陽暦となったそうです。だから立夏も七夕もお盆も旧暦の方が季節にぴったり合ってしっくりするのです。
二十四節気の穀雨から数えて15日目にあたる立夏は、田植えや種まきが始まる時期です。また八十八夜の数日後にもあたり、歌にもある通り「夏も近付く八十八夜」に近い日が立夏となるのです。二十四節気の穀雨から数えて15日目にあたる立夏は、田植えや種まきが始まる時期と言えます。
この時期になると車窓から田んぼをみると水が入ってしろかきが始まり、蛙の鳴き声が聞こえるようになりますね。
蛙をかわずとも言います。これは、河之蝦(かわのかえる)といって、田んぼの蛙と区別していたらしい。また、かじかガエルと言うのもあります。これは「河鹿蛙」と書きます。きれいな水の渓流に住み、美しい声で知られる河鹿蛙。鹿の鳴き声に似ているので、この名がついたといいます。
五月五日と言えば「鯉のぼり」
中国に「龍門」という激流があり、そこを登ることができた鯉は龍になって天に登るという伝説があました。「登竜門」という言葉は ここからきています。立身出世を願って鯉のぼりを揚げるようになったと言われます。池の底に住む日本の鯉とはずいぶん違いますね。
立夏から初夏の食べ物
【野菜】
・人参(にんじん)本来人参の旬は秋から冬なのですが、一般に流通している西洋人参は産地を変えながらいつでも変えるようになりました。とはいえ主産地はやはり寒い北海道です。原種はアフガニスタンと言われています。
・筍(たけのこ)第二十一候では「竹笋生(たけのこしょうず)といい、筍が生えてくる時期です。新暦では五月十五日〜五月二十日頃です。筍は排便を良くして熱を冷ます働きがあります。冬に溜まった余分な物を捨てるわけですね。わかめと一緒にわかめを炊き合わせて、山椒を添えた若竹煮は春の味ですね。
【魚貝類】
・アサリ
ゴールデンウイークの楽しい催し物と言えば潮干狩り。浅蜊(あさり)ですね。浅蜊は肝腎胃に良い食べ物です。清熱と言って冷やす力があるので、お酒を飲み過ぎた後の胃熱を取るのにとても効果があります。私は江戸名物の浅蜊を炊き込んだ「深川飯」が大好物です!利尿するので、飲み過ぎの浮腫にも最適。
・鰹
昔、鰹は、鰹節にして食べていたといいます。「勝男武士」に通じるので、武士に珍重されたそうです。生食するようになったのは江戸時代。とくに、立夏から初夏の鰹は、初鰹と呼ばれ、もてはやされました。大変高価だったにもかかわらず、初物好きの江戸っ子たちに「女房を質に入れても食べたい」といわせたそうです。鰹は腎を助け気力精力を増します。また貧血や体力回復にも効果があります